マンゴーを切らずに酸味とビタミンCを測る——近赤外光×機械学習の可能性
136果の近赤外スペクトルから総酸とビタミンCを推定。高精度モデルの数字だけでなく、品種・産地を越える際の注意点も整理します。
外観が同じマンゴーでも、酸味やビタミンC量は異なります。Scientific Reportsの研究は、果実を壊さずに近赤外反射スペクトルを測り、機械学習で総酸とアスコルビン酸を予測しました。選果場で内部品質を推定する技術につながる研究です。
KentとPalmer、計136果を追跡
スペイン、ブラジル、ペルー由来のKentとPalmerをドイツで入手し、約25℃で13日間保存しました。2日ごとに近赤外測定を行った後、同じ果実を破壊分析して正解値を作成。PLSR、SVM、ランダムフォレスト、XGBoost、一般化回帰ニューラルネットワーク(GRNN)を比較しました。
非線形モデルが高い予測力
前処理に標準正規変量変換を用い、GRNNは評価項目によって最大R² 0.98、RPD 5.5超を示しました。水、糖、酸などに由来するO–H、C–H、N–H結合の吸収情報を、非線形モデルが総合していると考えられます。
高いR²だけでは導入できない
試料は136果、2品種で、測定器は卓上型です。同じ果実を保存中に繰り返し観察したデータ構造や、産地・収穫熟度の偏りもあります。沖縄のアーウィンや小規模選果場へ適用するには、独立年次・独立園地・異なる品種を用いた外部検証と、携帯型装置での再校正が必要です。
生産現場では『目的変数』を先に決める
近赤外装置を導入する前に、糖度、酸度、乾物率、内部障害のどれを選別したいかを明確にします。装置の出力だけを信じず、定期的に実測値で校正し、品種・収穫日・果実温度を記録することが重要です。本研究は酸味と栄養成分の非破壊推定が可能であることを示した概念実証です。
参照した資料
・Scientific Reports 原著論文(2026年6月13日公開)
関連する図鑑ページ
・マンゴー
WEEKLY TROPICAL FRUIT LETTER
新着記事をメールでお届け
注目ニュース、栽培のヒント、品種情報を厳選してお知らせします。


