マンゴーを小さく育てる台木候補
多胚性マンゴー『Olour』の半きょうだい28系統を比較し、樹高、節間、樹皮・木部比などから矮性台木候補7系統を選んだ研究を解説します。
マンゴーは樹が大きくなりやすく、剪定、収穫、台風対策に労力がかかります。BMC Plant Biologyに2026年9月22日掲載された研究は、多胚性品種『Olour(オロール)』の半きょうだい後代28系統を調べ、高密植栽培に使える矮性台木候補を探しました。
『半きょうだい』を比較する意味
半きょうだいは、片方の親を共有し、もう片方が異なる後代です。同じOlourを母系に持っていても遺伝的な違いが生まれるため、その中から生育の小さい個体を選べます。研究チームは樹高や幹周、節間長だけでなく、光合成、蒸散、気孔密度、クロロフィル、樹皮と木部の重量比、フェノール類、抗酸化能まで統合して評価しました。
有望とされた7系統
有望な矮性表現型として選ばれたのは、OP-17-01、OP-17-10、OP-17-19、OP-17-34、OP-17-40、OP-17-47、OP-17-58の7系統です。親のOlourが樹高2.01mだった条件で、これらは1.02〜1.64m、幹周49.56〜70.81mm(親93.56mm)、節間長1.82〜2.55cm(親3.45cm)でした。
矮性候補は光合成速度、蒸散速度、気孔密度、クロロフィルが低い傾向を示し、樹皮対木部比やフェノール類、抗酸化能は高い傾向でした。主成分分析では最初の4成分が変動の76.1%を説明し、第1主成分だけで45.86%を占めました。形だけでなく生理・生化学指標も合わせることで、旺盛な系統と矮性候補を分けています。
『矮性台木が完成』ではない
ここが最も重要です。選ばれたのはOlour後代そのものの樹勢が小さい候補であり、接いだ穂木まで必ず小さくすることを実証した段階ではありません。台木として評価するには、アーウィンなど実用品種を接ぎ、接ぎ木親和性、樹冠サイズ、着果開始、収量、果実品質、根の耐湿性、病害、強風時の支持性を複数年確認する必要があります。
また、樹が小さいことと高収量は同義ではありません。光合成能力の低下が果実生産へ不利に働く可能性もあります。高密植では1本当たりの収量だけでなく、面積当たり収量、作業時間、農薬散布のしやすさ、更新費用まで含めて評価します。
沖縄で注目したい理由
沖縄のマンゴー施設では、限られた高さで樹冠を維持し、台風前後の管理をしやすくすることが重要です。剪定だけで樹勢を抑えると、強い徒長枝が出る場合があります。穂木品種、台木、根域制限、かん水、着果負担を組み合わせて樹冠を設計できれば、管理の選択肢が広がります。
今回の7系統は完成品ではなく、台木育種の入口です。それでも、樹高だけで選ぶのではなく、節間、木部構造、生理、生化学を重ねて評価した点は、長寿命作物の台木選抜を考えるうえで参考になります。
出典
関連する図鑑ページ
・マンゴー
WEEKLY TROPICAL FRUIT LETTER
新着記事をメールでお届け
注目ニュース、栽培のヒント、品種情報を厳選してお知らせします。


